2008年05月05日 更新

【テニス】クルム伊達、複でカムバックV!単でも準優勝

クルム伊達(右)と高校生パートナー、奈良の笑顔のツーショット

クルム伊達(右)と高校生パートナー、奈良の笑顔のツーショット

 女子テニス・カンガルーカップ国際オープン最終日(4日、岐阜長良川テニスプラザ)上々でした♪ 12年ぶりに現役復帰した37歳のクルム伊達公子(フリー)が、奈良くるみ(16)=大阪・大産大付高=と組んだ複で、メラニー・サウス(22)=英国、ニコル・タイセン(19)=オランダ=組を破って優勝、現役復帰後最初の大会を終えた。単決勝では世界ランク86位タマリネ・タナスガーン(30)=タイ=に敗れたが、自身に“及第点”をつけた。8日間で単複合わせて291ゲームを戦い抜き、力強く復活した。

 年齢差や経験の違いを突き抜けた。クルム伊達が、21歳年下の高校生パートナー奈良と抱き合って笑顔を弾かせた。複決勝。2人で勝ち獲った喜びは2倍となって、単で敗れた悔しさを忘れさせた。会場を埋めた2500人のファンも、立ち上がって大きな拍手を送った。

 「複は何としても優勝したいと思っていた。最初にくるみちゃん(奈良)が動いてくれて、流れをうまく引き寄せることができた。単複とも最終日まで残れて、できすぎだと思う」。スーパータイブレークで実施された最終第3セット。奈良のボレーが決まった瞬間、クルム伊達の復帰戦での優勝が決まった。

 12年の空白は、復帰1戦目で完全に埋まった。4月27日の単予選から出場して、8日連続で試合を消化した。単で8試合206ゲーム、複で4試合85ゲームを戦った。プレー時間は合計22時間15分。期間中は初夏の陽気で、気温が真夏日(30度)にもなった。全盛期にもほとんど経験がないハード日程を乗り切った37歳は、「これからツアーに出ることで示せるものも出てくる。今はこの大会を最後までやり通せたことが一番うれしい」と“及第点”をつけた。

 引退した年のトーシバクラシック(96年8月)以来、複では同年4月のジャパンオープン以来の優勝。複優勝賞金は日本円にすれば14万円足らず、単準優勝の賞金も3990ドル(約41万8950円)にすぎない。「使いみち? まず必要経費ですよ」とおどけたが、もちろん賞金獲得が復帰の目的ではない。

 世界で戦える若手を育てるため、言葉より行動で示すことを選択しての挑戦は、上々の滑り出し。「若い子たちには駆け引きも学んでほしい。でも、私自身も学んでいかないと…」。復帰初戦で早くも社会的な注目も集めた復活劇。女子テニス界は再びクルム伊達を中心に回り始めた。

(臼杵孝志)

★伊達の相棒・奈良「勉強できた」

 クルム伊達とのペアで複を制した奈良は、「パートナーが強い味方でした。いろんなところで勉強できた」と感謝した。この日を含めて4日連続で1日に単複1試合ずつ戦ったクルム伊達を気遣い、「自分が動こうと決めていた」と躍動した。元世界ランキング4位の実力者と一緒にプレーした経験は、今後の競技生活にきっと生きる。

◆単決勝でクルム伊達を破って優勝したタマリネ・タナスガーン

「どっちが勝ってもおかしくなかった。伊達さんに勝てて、とてもうれしかった。思い出になるような試合でした」

★母・昌子さんサインボールをキャッチ

 クルム伊達の母・昌子さんも復活を見届けた。複の表彰式では、娘がスタンドに打ち入れたサインボールを偶然にキャッチ。手をたたいて喜んだ昌子さんは「ホントによかった。みなさんのおかげです」。夫で、娘の最大の理解者でもあった寿一さんは昨年11月に死去(享年70)。単表彰式のスピーチではクルム伊達が「父もどこかで見ていてくれたと思います」と感極まると、昌子さんもハンカチで目を押さえた。

■クルム伊達の今後

 今大会と同じITF(国際テニス連盟)公認サーキットの2試合に参戦が決まっており、6日から「福岡国際女子テニス」で単複ともに出場。13日からは「久留米市ベストアメニティカップ」に出場を予定する。3大会を消化すれば、WTA(女子テニス協会)の規則を満たし、世界ランクにも再登場。現時点では500位以内でのランクインとなる。