2021.4.30 12:00

【ベテラン記者コラム(139)】F1の新方式「スプリント予選」 日本GPへの影響は?

【ベテラン記者コラム(139)】

F1の新方式「スプリント予選」 日本GPへの影響は?

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 自動車・F1世界選手権の予選方式が今季、部分的に変わる。主催者のフォーミュラワンと国際自動車連盟(FIA)、参加チームが26日のF1委員会で、新方式の導入に満場一致で合意した。

 日曜午後の決勝のスタート順を、土曜午後に行う100キロ、30分程度のミニレースで決める。今季は3戦でテストとして実施。導入は第10戦・英国GP(シルバーストーン)で決まったほか、第14戦・イタリアGP(モンツァ)と、欧州外のもう一戦でも行う考えだ。

 土曜のレース「スプリント予選」のスタート順は、金曜に現行のノックアウト方式の予選で決める。3日間のイベントのボリュームを上げるのが狙いで、フリー走行しか行われていない金曜日の価値を高めたいという。

 私が取材を始めた頃の予選は金、土の午後に1時間ずつ走行し、ベストタイムで決勝スタート順を決めていた。その後、1台ずつのタイムアタック方式をへて、2006年から、3部制で下位が脱落する現行方式となった。下のカテゴリーなどで行われてきた予選レース方式の導入は初だ。

 エンターテインメント性を高めるといっても、効果はコースによって異なる。典型は世界三大レースの一つ、モナコGPで、レースのコース上で順位が変わることはほとんどない。チーム側にすれば事故の危険性が高まるだけだ。主催者側も全GPを新方式で行う考えは今後もないという。競技面の運営責任者、ロス・ブラウン氏は「導入するGPにグランドスラムのような雰囲気を持ち込みたい」という。

 テニスのグランドスラム(四大大会)が、2週間開催や男子シングルスの3セット先取制などツアーの他の大会と違うフォーマットで行われているように、特定のGPに新方式を導入することで他のGPとの差別化を図るということのようだ。

 世界各地での開催に力を入れてきたF1は、今季は史上最多の23戦を予定。チームがスタッフに休みを取らせられないなど、限界だという声は多く、1戦を土日の2日間開催として日程に余裕を持たせる案が出ている。

 一見逆行する新方式だが、年間数戦を新方式で3日制とし、残り(モナコは別格としても)を現行方式の2日制にして価値を差別化しつつ、開催数をさらに増やす余裕を作る-。その布石と考えるのはうがちすぎか。仮にそうなると、シルバーストーンやモンツァと違い比較的抜きにくいとされる鈴鹿の日本GPは、どうなるだろうか…。

 「(新方式が)うまくいかなければ両手を挙げて(降参し)、考え直すだけだ」とブラウン氏。今後のF1の姿は大きく変わることになるかもしれない。(只木信昭)