2020.4.8 14:56

【ラグビーコラム】“ラグビーのない日常”が日常になってはならない

【ラグビーコラム】

“ラグビーのない日常”が日常になってはならない

特集:
ノーサイドの精神

 【ノーサイドの精神】自宅から見える川端の桜もほぼ散った。4月上旬。かつてラグビーではこの季節といえば、“お祭り”のイメージがあった。横浜市で毎年行われている国内最古の7人制大会「YC&ACセブンズ」は、最盛期にはまさにフェスティバルのような、楽しい雰囲気で終日を過ごすことができた。海の向こうでは「香港セブンズ」。これは現在でも7人制の祭典といって間違いない。

 ひるがえって四半世紀以上も昔、日本のラグビーカレンダーは、ほぼ毎年固定されていた。社会人、大学のシーズンは9月に開幕。11月23日の早慶戦は96回を重ねた今でも開催日は変わらない。12月第1週の早明戦は国立競技場(旧)に6万人の大観衆を集めた。大学王者vs社会人NO・1の一騎打ちだった日本選手権は、1月15日の成人の日。振り袖姿の若い女性が観戦する姿が、NHKのテレビ中継で必ずとらえられたもので、冬の風物詩の一つだった。そして、日本選手権が終われば「今年のラグビーは終わった」とファンはひと息つき、次のシーズンへと新たに気持ちをワクワクさせたものだった。

 時代の変化で、ラグビーカレンダーも大きく変動した。日本選手権は1996年の第33回大会から、2月以降の開催となった。成人の日そのものも、2000年からは1月第2月曜、いわゆる“ハッピーマンデー”で日付が固定されなくなった。大会様式も変わり、最近はトップリーグ(TL)の上位によるトーナメントとなって大学チームは除外された。

 56回の歴史を誇るラグビー日本一決定戦が今年、史上初めて中止された。新型コロナウイルスの感染拡大を受けてのものだ。日本選手権だけではない。TLも、大学の春季大会も、全て中止。欧州6カ国対抗やスーパーラグビーを含め、世界中どこを見てもラグビーをやっているところはなく、“ラグビーのない日常”が1カ月以上も続いている。

 ウイルス禍は終息の兆しも見せず、安倍晋三首相は4月7日に緊急事態宣言を発令した。われわれのもとにラグビーが戻ってくるのは、いつになるのか。“ラグビーのない日常”が日常になってはならない。その日を早く来させるためにも今、われわれはすべきことをしなくてはいけないし、してはいけないことをしてはならない。

田中 浩(たなか・ひろし)

「田中 浩」イメージ画像  1983年入社。ラグビーブーム全盛期に担当を約10年、その後デジタルメディア、ボクシング担当、アマ野球担当などを経て2008年から運動部一般スポーツ担当デスクを務め、14年秋に二十数年ぶりにラグビー取材の現場に復帰。秩父宮ラグビー場でトライ(高校都大会決勝)と東京ドームでヒット(スポーツ紙対抗野球)の両方を経験したのがプチ自慢の59歳。