2020.3.11 12:00

【ラグビーコラム】レッドカードは「抑止力」 選手のウェルフェアを重視

【ラグビーコラム】

レッドカードは「抑止力」 選手のウェルフェアを重視

特集:
ノーサイドの精神

 【ノーサイドの精神】3月7、8日に行われた欧州6カ国対抗で、2試合ともレッドカードが出された。

 トゥイッケナムのイングランド-ウェールズの後半35分、ウェールズWTBノースの頭部へ、危険なタックルをしたイングランドCTBツイランギにレッドカード。その前にシンビンを出されていたイングランドは残り時間を13人で戦うことになり、残り3分から2トライを献上。最終的には33-30の大接戦となった。

 翌日のエディンバラではフランスPRアウアがもみあいの後、スコットランドFLリッチーに右ストレートをお見舞い。レッドカードを出され、40分以上を14人で戦うはめになったフランスは敗れた。

 今年の6カ国対抗でのレッドカード第1号、第2号となったのだが、ともにTMO(テレビジョンマッチオフィシャル)にかけられての判定だった。

 ツイランギの場合、ゴールラインに迫るノースがマークのイングランドWTBスレードにタックルされ、体が大きく沈んだ。そこにすっ飛んできたツイランギは、バインドする場所もなく、肩がノースの頭に当たった。ノーバインドで頭部への打撃。ワールドラグビー(WR)の指針でもレッドカードだ。

 これに、イングランドのジョーンズ監督がかみついた。

 「他にどんなタックルの仕方があったと言うんだ。低いタックルで相手の選手は明らかにバランスを崩した。そこにツイランギが覆いかぶさる形になったのは勢いを殺すため。勘弁してもらいたいね」

 では、次の数字を見てほしい。

 ※昨年のW杯日本大会で起きた脳振盪(しんとう)の件数は、2018年に行われたトップカテゴリーの試合の平均と比べ28%減。

 ※タックルを原因とした脳振盪の件数も37%減。

 ※イエローカード数は74%増、レッドカード数は138%パーセント増。

 WRは、W杯でハイタックルを段階的に評価して処分する枠組みを導入。脳振盪が減少したのは「強い抑止力が働いたことが直接的な要因」と分析している。

 プレーヤーのウェルフェアを重視するWRは、この「抑止力」を強化している。特にターゲットとしているのが頭部への加撃行為。ツイランギの例のように、選手やコーチからすれば「どうすればいいんだ」と言いたくなるだろうが、全ては結果で判断され、今後もレッドカードが出されるだろう。そういったことも踏まえ、ぎりぎりのところでのタックルスキルを考えないといけなくなってきたのかもしれない。

田中 浩(たなか・ひろし)

「田中 浩」イメージ画像 1983年入社。ラグビーブーム全盛期に担当を約10年、その後デジタルメディア、ボクシング担当、アマ野球担当などを経て2008年から運動部一般スポーツ担当デスクを務め、14年秋に二十数年ぶりにラグビー取材の現場に復帰。秩父宮ラグビー場でトライ(高校都大会決勝)と東京ドームでヒット(スポーツ紙対抗野球)の両方を経験したのがプチ自慢の59歳。