2018.4.20 11:23

「四月大歌舞伎」で久しぶりに遭遇した“いいお客さま”/芸能ショナイ業務話

「四月大歌舞伎」で久しぶりに遭遇した“いいお客さま”/芸能ショナイ業務話

特集:
芸能ショナイ業務話

 知人たちから「歌舞伎座に行ってきたわよ」と声を掛けられ、「出遅れた…」と思いながら先日、「四月大歌舞伎」(26日まで)の昼の部を観劇してきました。

 明治維新から150年の節目の今年にちなんだ「西郷と勝」と、11年ぶりに「裏表先代萩」が上演中で中村錦之助さん、尾上松緑さん、人間国宝の尾上菊五郎さんと中村東蔵さん、中村時蔵さんらが出演しています。

 そうそうたる顔ぶれですから充実した内容でしたが、さらにお芝居を楽しませてくれたのが、団体客と思われる席からの反応でした。

 菊五郎が、金のために主人を裏切る小助とお家乗っ取りを企む仁木弾正の二役を演じる「裏表先代萩」でのこと。小助演じる菊五郎が花道から登場したときに、その席から、何ともいえない感嘆の空気が漂ったのです。

 そして、二幕の幕があがり、豪華な「足利家御殿の場」が現れると、今度は「うわ~」と感激の声が。御簾が上げられ、昨年5月に六代目坂東亀三郎を襲名した5歳の坂東侑汰くんの姿が見えると遠慮がちではありながら「かわいい~」と、それぞれがつぶやくのです。

 さらに、二幕終盤で仁木弾正にふんした菊五郎の重厚な演技に息をのみ、大詰での武士役の役者たちに担ぎ上げられ、舞台袖に引っ込む菊五郎にどよめき…。自然にわき起こる客席の反応は心地良く、舞台上の役者にも届いてほしい、と思いました。

 最近では劇場でも、開演前に携帯電話の電源を切る、ポリ袋の音に気をつけて、などという“おきまり”のアナウンスがされる時代になりました。ちょっとでも感想を述べる人がいると、にらみ付ける観客を目にすることもあります。

 でも、今回の団体客と思われる人たちの他の人に迷惑を掛けないことを心のどこかに持った“遠慮”気味な反応は、役者を励ます“いいお客さん”だと思いました。

 その反応が舞台を彩ると実感したひとときでした。(くのいち)

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