2020.9.23 05:00

【甘口辛口】公道使う駅伝で「無観客」は違和感 逆効果の心配も…観客のモラルに期待するしかない

【甘口辛口】

公道使う駅伝で「無観客」は違和感 逆効果の心配も…観客のモラルに期待するしかない

 ■9月23日 「駅伝の無観客開催とは…」と考え始めたら夜も眠れなくなった。「応援自粛」を呼びかけても「天下の公道にいて何が悪い」といわれればお手上げだ。競技場という器に運営者の判断で観客を入れずに行うのが「無観客試合」で、人数をコントロールできない公道を使っての駅伝にこの言葉は違和感がありすぎる。

 来年1月2日、3日の箱根駅伝を主催する関東学生陸上競技連盟は「競技会場はもとより、会場周辺への来訪を控えていただくようお願いします」と応援自粛を要請した。出場校応援団の応援活動は認めず、プログラムやグッズ販売も行わない。表彰式などの式典も極力実施しないという。

 加盟校に対する要請とはいえ文書には「無観客」と記されているが、発着地の大手町や箱根町など特に人が密集する地点はどう制限をかけるのか。3月の東京マラソンでは応援自粛を要請しても沿道に7万人が集まった。「駅伝、マラソンに無観客はありえない。開催への免罪符代わりと思われても仕方ない」と皮肉る関係者もいる。

 車社会化による交通戦争で年間の事故死が1万人を超えた50年ほど前、箱根駅伝は国道1号使用を断念し「富士スピードウエイ」への移転を模索したことがあった。10月17日の予選会はコースを変更し自衛隊立川駐屯地内で無観客レースとなった。本当に無観客にするなら先人に学んで富士での開催もありえた。

 大正9(1920)年に第1回が開かれた伝統の大会。何とか中止を避けるための最大限の努力はうなずけるが、無観客とうたうことで「どんなものか見てみよう」と物見高い人も集まり逆効果の心配もある。最後は観客のモラルに期待するしかないようだ。(今村忠)