2020.9.14 05:00

【甘口辛口】波紋を呼んだ菅官房長官の消費税に関する発言…今の政治で必要なのは庶民の生活に寄り添う視点だ

【甘口辛口】

波紋を呼んだ菅官房長官の消費税に関する発言…今の政治で必要なのは庶民の生活に寄り添う視点だ

 ■9月14日 「綸言(りんげん)汗の如し」。汗が体内に戻らないのと同じで一度口にした言葉は消えないという格言だ。きょうの自民党総裁選で圧勝確実の菅官房長官が、10日夜のテレビ番組で「国民のみなさんにお願いして消費税は引き上げざるを得ない」と発言した。綸言とは天子の言葉だが、次の首相になる人だけに波紋は大きい。

 党内からも「この時期に」と疑問の声が上がったほど。さすがに12日の公開討論会で「将来のことまで否定できないと思った」「10年は消費税は考えない」と必死に火消しに努めた。とはいえ発言は事実で頭の中に刷り込まれていればこそ、と思われても仕方ない。

 国会議員票の8割を固め盤石の総裁選。神様でもない限りもう“心は首相”でもおかしくない。だが、コロナ禍で解雇や雇止めが5万人を超え庶民は疲弊しきっている。そこへ消費税増税をちらつかされては「勘弁してくれ」ではないか。菅氏はたたき上げの庶民派のはずだが、本当に庶民の心を熟知しているのか疑問に思った人も多かったろう。

 意外だったのは合流新党となった立憲民主党の枝野代表が次期衆院選で消費税を「争点にしない」といったことだ。代表選では党運営や人事など党内融和ばかり。それは党の会議室で話し合えばいい。敵失に乗じ「消費税を上げるか下げるか」を争点に新政権に真っ向から切り込む覚悟を見せたら、少しは国民にアピールしたかも。

 「政治家の仕事は国民の悩みを知り耳を傾けること」と菅氏はいう。しかし、いまの政治で一番欠けているのは庶民の生活が今後どうなるのかという視点だろう。国民不在の総裁選、代表選はどこか違う惑星の話のように思えてしまう。(今村忠)