2020.9.2 05:00

【甘口辛口】自民党総裁選、新しい時代の息吹を押さえ込んだ古い体質 昭和の談合政治は令和のいまも健在だった

【甘口辛口】

自民党総裁選、新しい時代の息吹を押さえ込んだ古い体質 昭和の談合政治は令和のいまも健在だった

 「これは面白くなる」と期待していたのもつかの間だった。安倍晋三首相の後継を決める自民党総裁選は最大派閥の細田派と、第2派閥の麻生派が菅義偉官房長官支持を決めた。まさになだれを打ったような菅氏支持の広がり。「勝ち馬」に乗り新政権で主流派に収まろうという変わり身の速さには、いつもながら恐れ入る。

 今回の総裁選は緊急を要することで全国一斉の党員投票でなく両院議員総会での選出となった。「政治の空白をもたらしてはならない」と二階幹事長は説明したが、若手議員からは「この危機的状況こそ全国の党員の信任を得た強いリーダーを」と党員投票を求める声も強かった。

 若手の代表格、小泉進次郎環境相は31日夜のBSテレビで「安倍首相も、われわれ閣僚もきちんと仕事を続けており停滞などしていない。党員イコール国民。国民の声を取り入れ党が生まれ変わるチャンスと思っている」という趣旨で党員投票の必要性を訴えていた。しかし、若手を中心にした議員145人の署名も功を奏さなかった。

 意欲満々に見えた河野太郎防衛相も、いつの間にか出馬を見送った。外野から見る限り自民党の古い体質が新しい時代の息吹を押さえ込んだ感じで、流れを作ったのは派閥の長老たち。密室に集まって物事を決めてしまう昭和の談合政治は、平成を越え令和のいまも健在だった。

 コロナ対策や「Go To キャンペーン」などの政策を支えてきたのは菅氏でもある。根回しにたけた参謀風。自ら売り込まず周囲の待望論に乗っての本命浮上はいかにもだ。国民には不満だらけのコロナ対策でどこまで切り込めるか。リーダーとしての手腕は? とは気が早すぎるか。(今村忠)