2020.8.31 05:00

【甘口辛口】大きすぎた安倍首相の存在 東京五輪、次のリーダーは成り行き任せが得策かも

【甘口辛口】

大きすぎた安倍首相の存在 東京五輪、次のリーダーは成り行き任せが得策かも

 ■8月31日 東京五輪は一体どうなるのか。安倍晋三首相の突然の退任表明で誰もが思ったろう。東京五輪の準備状況を監督する国際オリンピック委員会(IОC)のコーツ調整委員長は「首相のサポートは非常に大きかっただけに残念」と語った。組織委員会からも「推進役がいなくなることは不安。ショックも大きい」との声が漏れた。

 1964年の東京五輪では首相だった祖父岸信介が招致の最高顧問を務め成功しただけに、安倍首相の東京五輪にかけた熱意は並大抵ではなかった。自ら招致の旗を振りコロナ禍で今夏の開催が行き詰まった3月には、IOCバッハ会長と電話で直談判し1年延期の合意を取り付けた。

 東京五輪にとっては頼れる“父親”のような存在だった。組織委員会の森喜朗会長はバッハ会長に「開催国としての責任を果たしたい。次のリーダー(首相)もその考えだろう」と説明したという。バッハ会長は「安心した」といっても、次のリーダーが誰であれIOCとの接点は見当たらない。

 気心が知れず「本当に安倍首相のように熱意が…」とIOCが疑心暗鬼になっても不思議ではない。名前が挙がっているリーダー候補たちは、安倍首相が手塩にかけて育てたのに「五輪ねぇ」と遠い親戚のように眺めている感じだ。五輪開催可否は年内にも決まる可能性もあり万が一中止なら就任早々のイメージダウンにもなりかねない。

 何より自分の首相としての足固めの方が大事。開催でも中止でも巨額の金が必要になる五輪はいまや持て余し者ともいわれるだけに、下手に手を突っ込むことは避け成り行き任せが得策かもしれない。それもこれも“父親”の存在が大きすぎたからではないか。(今村忠)