2020.8.26 05:00

【甘口辛口】五輪は「中止やむなし」が世界の流れ 花道へ安倍首相が燃やした執念と消したくない政権の灯

【甘口辛口】

五輪は「中止やむなし」が世界の流れ 花道へ安倍首相が燃やした執念と消したくない政権の灯

 ■8月26日 東京五輪の聖火が、9月1日から国立競技場近くの五輪博物館「日本オリンピックミュージアム」(東京都新宿区)で一般展示される。思えば3月12日にギリシャで採火され半年近く。日本には来たものの、ずっと保管状態が続いた因果な聖火だが、事前予約をしてでも見たい人がいるというから報われそうだ。

 もっとも、各種世論調査の数字をみると来年に延期された東京五輪は「中止」か「再延期」が70%近くを占め、「予定通り開催」を望んでいる人は30%にも満たない。開発が急がれているワクチンが、五輪までにできたとしても十分な量が世界中で確保できるのか。世界が抱く共通の疑問でもある。

 そんな折、陸上中距離の名選手でもあった世界陸連のセバスチャン・コー会長が英BBCのラジオ番組で、東京五輪について「(開催に)確実性はない」と語った。コー氏は、東京五輪の準備状況をチェックする国際オリンピック委員会(IОC)の調整委員という立場にいるだけに影響力は大きい。

 ましてや五輪の中核をなす陸上のトップ。「五輪開催を本当に望んでいる」としながらも、コロナ禍でスポーツ界の混乱が続く場合「別のタイプの大会創設について、既存の枠組みにとらわれずに考えなくてはいけないのかもしれない」と語った。「中止やむなし」を前提としたような発言で重みを感じる。これが世界の流れであることは明白だ。

 残る任期が1年1カ月。東京五輪が引退の花道とささやかれていた安倍晋三首相は「持病悪化か」と、にわかに健康不安が表面化し永田町は騒然としている。東京五輪に燃やした首相の執念。聖火も政権の灯も、そう簡単に消したくはないはずだが…。(今村忠)