2020.8.23 05:00

【甘口辛口】天理大ラグビー部クラスターで不当な扱い受ける学生たち 教育実習やバイト先で拒否…人が育つ機会摘む差別あってはならない

【甘口辛口】

天理大ラグビー部クラスターで不当な扱い受ける学生たち 教育実習やバイト先で拒否…人が育つ機会摘む差別あってはならない

 ■8月23日 小欄が中学生の頃、国語の授業で女子大生が教育実習にやってきた。おぼろげながら、きれいなお姉さんだったと記憶している。担任はビンタも当然の厳しい中年の男性教師だったから、半世紀近くたった今も彼女の記憶は懐かしい。口調も柔らかく、何かでほめてくれたときは、心ひそかに有頂天になるほどうれしかった。

 俄然(がぜん)、勉強のやる気も出たが、お姉さんが教育実習を終えて去るとき、あすからはまたビンタ先生か…とため息がもれた。寂しくはあったが、生徒全員に短い手紙を書き置いてくれた優しさあふれるお姉さんだった。出会いはときに、人を育てる。教育実習は教える方も教わる方も、貴重な経験だと改めて思う。

 それなのに、教育実習をめぐって愚かな差別行為が発覚した。天理大(奈良県天理市)のラグビー部で、新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生したことが発端だった。20日に会見した学長によると、ラグビー部員ではない学生たちが、教育実習先やアルバイト先から不当な扱いを受けたという。

 うち3人が中学や高校から教育実習の受け入れを断られたり、実習前にPCR検査を求められたりした。また、別の学生2人がアルバイト先から「しばらく出勤を見合わせてほしい」と言われたという。学長は「こうした動きが広がることを懸念している」と憤りをあらわにした。

 それでなくとも、感染予防に日々、余計な緊張を強いられ、人間関係もギスギスしがちなコロナ禍。コロナをめぐる問題が起きたとき、冷静な対応と人を思いやる気持ちは、ますます大事になってきた。ましてや、人が育つ機会の芽を摘む差別行為は、決してあってはなるまい。(森岡真一郎)