2020.8.15 05:00

【甘口辛口】渡辺明二冠、初の名人位獲得まであと「1」 悲願達成し、日曜日は趣味の競馬を心置きなく楽しんで

【甘口辛口】

渡辺明二冠、初の名人位獲得まであと「1」 悲願達成し、日曜日は趣味の競馬を心置きなく楽しんで

 ■8月15日 15年ほど前、棋士の渡辺明二冠(棋王・王将)に似ていると何人かに言われた。竜王(当時)と同じ銀縁眼鏡で鏡に映る姿になるほどと思ったが、年が倍近くも離れていたので申し訳ない気持ちにもなった。そんなことで応援する渡辺二冠がいま、注目を集めている。

 先月の棋聖戦では藤井七段に立ちはだかったが敗れ、史上最年少17歳11カ月でのタイトル獲得を許した。今月は逆に自身初の名人へ邁進(まいしん)中。棋士なら誰でもなりたい称号まであと1勝に迫った。

 そんな二冠の趣味が競馬というのは有名。小欄が週刊ギャロップの編集長時代、小誌に登場してもらった(2013年金杯号)。「データや過去のレース映像を見るのが好きだし、将棋の研究が追いつかないときは競馬と将棋の両方をパソコンを使って並行して」やっているというほど入れ込んでいた。

 同年暮れの「重賞年鑑」では、一口所有するマーブルカテドラルが出走した阪神ジュベナイルフィリーズの観戦記を執筆。競馬について「考察して、調べて、自分で選択するという過程は、将棋と非常に似ています。将棋も自分で選んだ戦法がうまくいったり、いかなかったりするものですから」。本業と相通ずるから好きなようだ。

 ベストレースに挙げるのは、スペシャルウィークがグラスワンダーにハナ差敗れた1999年有馬記念。武豊が勝ったと勘違いしてウイニングランをしたことに「あれだけ僅かな差だとトップジョッキーでも勝敗が分からないほどであり、それが勝負の場なんだ」と感嘆した。実にトップ棋士らしい発想だ。きょうは名人戦第6局2日目。悲願を達成し、日曜日の競馬を心置きなく楽しんでほしい。(鈴木学)