2020.5.5 05:00

【甘口辛口】夏場所中止も「一から体を作り直すいい機会」国技館での名古屋場所までは忍の一字

【甘口辛口】

夏場所中止も「一から体を作り直すいい機会」国技館での名古屋場所までは忍の一字

 ■5月5日 真新しい浴衣姿が初夏の日差しにまぶしく映える。大相撲の年6場所で一番風情のある夏場所も、番付という痕跡を残してコロナ禍に消えていく。史上初の無観客で実施した3月の春場所はプロ野球やJリーグなどが続々延期や中断になる中、スポーツ界の「最後のとりで」として支持されたが、さすがに状況が違いすぎる。

 政府の緊急事態宣言が今月末まで延長されることが4日の対策本部で正式に決まった。日本相撲協会は当初の10日初日を2週間延ばして24日とし、再び無観客でも何とか開催への方向を探っていた。しかし、宣言延長と重なっては「相撲だけは」というわけにもいかない。

 協会からは申し合いやぶつかり稽古など「濃厚接触」は避け、シコやすり足など基本中心の稽古をするよう通達が出ている。場所前みっちり稽古を積み万全に仕上げてこその本場所で、その「対価」として観客は入場料を払う。たとえ無観客でも中途半端な状態での開催は本場所に値しない。その意味でも中止は当然だろう。

 「頭を切り替え一から体を作り直すいい機会でもある。各自の考え方次第」。電話でそう話すある若い親方は夫人の実家に家族を“避難”させ自宅で一人暮らし。部屋のチャンコも「密になっては…」と遠慮し自炊生活という。「現役時代に譲り受けたギターをユーチューブを見ながら独習している。巣ごもりで趣味が見つかった」と笑った。

 次の7月の名古屋場所は集団移動を避けて国技館に変更し、無観客開催を目指すという。「無観客は仕方ないが、時間はたっぷりあり万全の状態で臨める。早く相撲を取らせてあげたい」と親方。それまでは忍の一字しかない。(今村忠)