2020.3.26 05:00

【甘口辛口】「殿様商売」のツケは必ずくる 東京五輪延期はIOCが大会の在り方考え直すいい機会

【甘口辛口】

「殿様商売」のツケは必ずくる 東京五輪延期はIOCが大会の在り方考え直すいい機会

開幕までの残り日数をカウントしていた東京駅前のボードには日時が表示された (撮影・蔵賢斗)

開幕までの残り日数をカウントしていた東京駅前のボードには日時が表示された (撮影・蔵賢斗)【拡大】

 ■3月26日 「五輪は1年延期すべきかもしれない」と、トランプ米大統領が発言して10日ほどで本当に東京五輪は1年延期された。トランプ発言のあと、安倍晋三首相がG7の電話会談で「完全な形での開催」を呼びかけ、その通りになった。未曾有のコロナ禍が介在して、五輪が厳然と一線を画すべき政治に屈した形だ。

 国際オリンピック委員会(IOC)は巨額の放映権料を支払う米国のテレビ局やスポンサーの顔色をうかがう一方で、会場や日程の調整など複雑な問題を抱え身動きがとれなくなったのか。本来なら世界の指導者が発言する前に、IOCの方から「この状況なら延期でどうか」と問いかけがあって然るべきだった。

 「来年の五輪は新型コロナウイルスによる、未曾有の危機を乗り越えた人類にとっての祝祭となる」とバッハ会長はコメントした。2013年から会長を務め強いリーダーシップには定評があるが、今回ばかりはIOCの主体性は感じられなかった。来年は改選もあって自らの保身に走ったのかもしれない。

 夏季五輪は24年がパリ、28年ロサンゼルスと開催都市は決まっている。しかし、膨大な開催費用に加え先々何が起こるかわからないことを今回、骨身にしみて思い知らされた。テロも怖いが、新型ウイルスによる感染症の拡大という新たなリスクまで考慮せざるをえなくなった。パリやロスも人ごとではないだろう。

 それどころか32年以降の夏季五輪に手を挙げる都市はなくなる可能性がある。五輪から手を引くスポンサーも出てきそうだ。「殿様商売」のツケは必ずくる。IOCにとっては存在の危機に陥る前に大会の在り方を根本的に考え直すいい機会だろう。 (今村忠)