2018.6.25 05:00

【甘口辛口】ビデオに振り回され「遺恨」まで残しては…何のためのリプレー検証かわからない

【甘口辛口】

ビデオに振り回され「遺恨」まで残しては…何のためのリプレー検証かわからない

 ■6月25日 サッカーのVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)制度がロシアW杯で威力を発揮している。22日のブラジル-コスタリカではペナルティーエリアで両手を広げてひっくり返ったネイマールの“名演技”でいったん下されたPK判定が、VARの結果覆された。裏を返せば、いままでいかに審判を欺くPKが多かったかがわかる。

 審判はじくじたる思いだろうが、映像という確たる証拠にはかなわない。翻って、日本では22日のプロ野球オリックス-ソフトバンクでファウルと判定された打球がソフトバンク工藤監督のリクエストによるリプレー検証で本塁打に覆り、試合後の確認作業でやっぱりファウルだったという珍事が起きた。

 プロ野球では今季からアウト・セーフなどに監督が異議を唱えるリクエスト制度が導入されたが、本塁打に関しては2010年から採用されていた。小さなボールを追っての検証は難しいとは思うが、今回は「こま送りのシーンがずれていた」とかで有無を言わさぬVARに比べまだまだ頼りない。

 負けたオリックスは問題の「2点本塁打」を打たれた3-3の延長十回二死一塁からの試合継続を求めた。気持ちはわかるが、野球規則には誤審による継続はない。審判を欺く「シミュレーション」によるPKがサッカーなら、誤審を招きやすい「ポール際本塁打」も野球のうち。詮ないこととあきらめるしかないだろう。

 ただ、勝負を大きく左右する検証の場合は審判は両監督を呼び見解を説明し、時間がかかっても質疑応答で納得してもらうしかない。ビデオに振り回され、スポーツであってはならない「遺恨」まで残しては、何のためのリプレー検証かわからない。 (今村忠)