2018.12.4 13:00

【球界ここだけの話(1468)】日米野球に隠された「あえて足さない」選択肢 東京五輪を見据えた戦略

【球界ここだけの話(1468)】

日米野球に隠された「あえて足さない」選択肢 東京五輪を見据えた戦略

特集:
侍ジャパン
サンスポ記者の球界ここだけの話
侍ジャパン・稲葉監督

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 11月に行われた日本代表「侍ジャパン」の強化試合・台湾戦と日米野球。台湾戦は5-6で敗れたが、メジャーリーガーを相手に戦った日米野球は5勝1敗と圧勝した。「日の丸をつけて戦う以上、すべて勝ちにいく」としていた稲葉篤紀監督(46)は、「いい経験ができた。東京五輪へこの経験を生かしてほしい。(今後の人選は)迷うと思う」と上々の手応えを口にした。

 そんな今回の代表シリーズ。実はペナントやWBCなどの国際大会では当たり前になっている光景が見られなかった。それはネット裏でデータを集め、ベンチではアドバイスをするスコアラーの存在だ。スコアラーは各種映像やデータを収集、分析し、攻守ともに作戦面などで貢献する、チームに不可欠な存在。特にデータ活用全盛期を迎えた現代野球では重要度はますます増している。

 だが稲葉監督は今回、スコアラーを帯同させず、台湾代表の映像やデータは入手しなかった。日米野球では攻撃面の分析を金子ヘッドコーチが、守備面の分析を村田バッテリーコーチが兼任で行ったが、村田コーチは「兼任だとどうしても限界はある」と認める。

 一見、「すべて勝ちにいく」という指揮官の言葉と矛盾するようだが、これには理由があった。現在は巨人でスコアラーを務める村田コーチが続ける。「東京五輪ではどれだけの情報が収集できるか分からない。選手もデータが充実した環境に慣れすぎてしまうと、いざデータがない中で戦わなければならなくなった時に対応できなくなってしまう。だから今回はあえてあまり情報を入れないようにしている」-。

 五輪はコーチの数もWBCの半分の3人に制限される見込みで、スコアラーもどの程度活動できるか未知数だ。情報がない中で、初めて対戦する相手でも本来の自分の力を発揮できるか。それが今回の代表シリーズの隠されたテーマであり、選手の対応力を見極め、鍛える場でもあった。稲葉監督は「初見でも相手投手の軌道などを振りながら確認してくれた」と前向き。あえて足さない、という選択肢。これも五輪本番を見据えた戦略だった。(伊藤昇)

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