2018.1.17 13:01

【球界ここだけの話(1153)】忘れられない星野監督とのイタリアンランチ

【球界ここだけの話(1153)】

忘れられない星野監督とのイタリアンランチ

特集:
サンスポ記者の球界ここだけの話
試合前の練習中、ベンチで穏やかな笑顔を見せる星野仙一氏=平成29年9月撮影

試合前の練習中、ベンチで穏やかな笑顔を見せる星野仙一氏=平成29年9月撮影【拡大】

 2018年1月。年明け早々の訃報に心が沈んだ。4日に星野仙一・楽天球団副会長(享年70)が天国に旅立った。

 2010年秋から12年秋まで楽天担当として取材をさせてもらった。最初は武勇伝ばかりが耳に入り、恐る恐る、接していたが、付き合ってみると、まさに温かい“昭和のおやじ”。政治、経済、そして野球界のことを星野監督から学んだ。

 当時独身だった記者は、仙台でランチ相手をさせていただいた。集合場所は、監督邸近くのイタリアンレストラン。正午前に待っていると、パナマ帽に白シャツ、ジーンズ姿の監督が歩いてくる。そしてヘッドコーチの田淵幸一さんも駅前のホテルからやってくる。2人の漫談のような昔話から、前夜の反省、選手への思い、采配で疑問に思ったまでを聞かせてもらった。岩隈(マリナーズ)が抜けた2012年は、ほとんどが20代前半の先発陣。すでに田中(ヤンキース)は完成された投手だったが、美馬、塩見、辛島、釜田ら若い投手が、いつも大事な終盤に痛打を浴びていた。

 「もう少し、早く代えてやったらいいんじゃないですか?」と質問すると、優しい顔で「あほ、打たれて覚えるんや。勝負どころで勝負球をちゃんと投げられるようにならんと一人前とはいえん。だから、俺は最後まで自分で白黒を付けさせる」。そうして、粘り強く育てた投手陣が今の楽天を支えている。

 4年前に挙げた結婚式には、日取りは伝えていなかったのに、祝電と化粧用の熊野筆が届いた。最後にお会いしたのは昨年10月のドラフト会議。子供が生まれたのを伝えると、「よかったな。お前にも種があったということやな。家族は大事にしろよ」と笑ってくれた。

 生前に「今までありがとうございました」とお伝えすることができなかった。星野監督なき今、野球界を盛り上げ、野球のすばらしさをファンに伝え続けることが、新聞記者としてできる、わずかな恩返しだと考えている。(桜木理)

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