【球界ここだけの話(1129)】
阪神・掛布雅之オーナー付シニア・エグゼクティブ・アドバイザー(SEA)【拡大】
鳴尾浜で目にしていたような、変わらぬ熱血指導ぶりだった。今月上旬に兵庫県内で行われた「兵庫三菱自動車 親子野球教室」に参加した阪神・掛布雅之オーナー付シニア・エグゼクティブ・アドバイザー(SEA、62)が身ぶり手ぶりで、子供たちにアドバイスを送った。
「球を捕るときは、腕がちょうど窓を拭くときのような形になる。窓を拭くときは、腕がぴーんと伸びていても駄目だし、腕が体に近すぎても吹きづらいでしょ? 普段から意識してね!」
シーズン中のグラウンド以外でも、夢を売るのがプロの大事な任務だ。2軍では鳴尾浜や遠征先の球場で野球教室を行ってきた。さらに、阪神は子供を対象とした野球アカデミー創設を来春に予定しており、幅広い野球振興活動の実現へ向け、新たに「振興部」も設置する。
きょう、あすの結果にすぐ結びつくものでもないが、この触れあいは子供たちにとって一生ものだ。高卒1年目の才木は中3時に参加した野球教室で、当時私立の強豪校から声がかからない悩みを先生役の能見に打ち明け「見返してやれ!」という言葉をもらい、「やはりプロの選手は、負けてはいけないという一面が最初に出てくるんだと思いました」とその教えを今でも大切にしている。
揚塩球団社長は新人研修会で「1年目から社会貢献してください。もし、先輩に『10年早い』といわれたら、『社長からの強い希望です』といえばいい」と呼びかけ、参加したD1位・大山も「すごく大事なことなので、まだどういう形になるかわかりませんが、そういうことも考えたいです」とうなずいていた。
このオフは能見が西宮市の鳴尾東保育所を訪問し、2014年から続けている慈善活動として玩具の贈呈を行った。阪神の選手はさまざまな方法で子供たちに夢を与えているが、「俺ら(球団OB)がやるのも大事だけど、現役選手がやるのは影響力が違うと思うからね」と掛布SEA。オフの各選手の活動が、プロ野球界の大きな財産につながっていく。(新里公章)